介護認定について

はじめに

介護認定制度は、急速に加速する高齢社会の「介護問題」に、我が国全体の問題として取り組むという目的から、平成12年4月から市町村を保険者としてスタートした社会保険制度です。
つまり、加齢などにより介護を要する状態になっても、高齢者の選択により、できる限り自立した通常生活を送ることができるように、必要な介護サービスを総 合的かつ一体的に提供する仕組みです。そして、介護サービスは、要介護状態または要介護状態になるおそれのある状態の軽減あるいは悪化の防止をする観点か ら、またその方の心身の状況や生活環境に応じて提供されます。
介護サービスの給付の対象(被保険者)は、65歳以上の要介護状態の者と、要介護状態にある40歳以上65歳以下の特定疾病の基準を満たす者となっています。

認定から申請

まず、被保険者は、定められた介護保険料を支払う義務があります。また、実際の介護サービスの給付を受けるためには、被保険者の申請に基づき、保険者が行う要介護認定を受ける必要があります。
要介護認定のための調査は、認定調査員によって行われ、その結果は、コンピュータによる一次判定ののちに、保健、医療、福祉に関する学識経験のある委員か ら構成される介護認定審査会において、一次判定結果、特記事項、主治医意見書をもとに審査判定(二次判定)が行われます。
なお、認定調査や、介護認定審査会における審査および判定については、公平公正に、また、客観的に行えるよう全国一律の基準が認定されています。

認定の基準

要介護認定は、介護サービスがどのくらい必要であるか、すなわち、介護の手間を判断するものです。したがって、その方の病気の重症度や、「介護が大変そうだ。」などのような主観により決められるものではありません。
現行の要介護認定は、介護の手間を「介護にかかる時間」で表すこととしており、実際の介護の現場における介護時間調査(1分間タイムスタディ)の結果をも とに、5つの分野(「直接生活介助」、「間接生活介助」、「問題行動関連行為」、「機能訓練関連行為」及び「医療関連行為」)を合計した「介護にかかる時 間」(要介護認定等基準時間)を”ものさし”としており、さらに介護報酬設定の基本的考え方とされています。
このため、要介護認定において、精神的負担感や家族構成などの、「介護にかかる時間」以外の観点から要介護認定を行うことは、公平公正の観点からのみならず、適正給付の観点からも適切ではないとされています。

認定とサービス提供

要介護度が決定されると、通常、介護支援専門員(ケアマネジャー)が、対象となる要介護者の心身の状態や置かれている状況を適切にアセスメントし、その方の同意をもとに介護サービス計画(ケアプラン)を作成します。
制度上は、精神的負担感や家族構成などの個別性の強い要因は、このケアプラン作成過程で調整されます。
このとき、各要介護者の状況により、介護サービスのみではなく、老人保健事業、介護予防・生活支援事業等の市町村により提供されるサービス、ボランティア 等地域住民の方々による自主的なグループ活動によるサービスなど、地域のあらゆるサービス資源を柔軟に組み合わせて介護サービス計画を作成することとなり ます。

※文中の「要介護認定」と記述しているところは、特段の断わりが無い場合、要支援認定も含みます。